先進国で最悪レベル…。7人に1人の子どもが貧困状態な日本。
勉強する機会を奪われた子どもたちの現実とは?
突然ですが、あなたは「相対的貧困家庭」という言葉をご存知ですか?
相対的貧困家庭とは、各国全人口の平均収入の、半分以下の収入しかない家庭のことを言います。
現在、日本にも貧困のため行きたい高校や大学に行けない、学びたいことを諦めないといけない子どもがいるのが実情です。
5人きょうだいの長女。
中学に通うさくらさん(仮名)の生活
5人きょうだいの長女として生まれたさくらさんには、弟が2人、妹も2人います。
小学生の頃に両親が離婚し、子どもたちは全員父親に引き取られました。
しかしその後、父親は重い病気にかかり、それが原因で仕事を失ってしまいました。
家計はひどく苦しくなり、お腹いっぱいにご飯を食べることもできなくなってしまったそう。
アパートの6畳にも満たない狭い部屋の中には、幼い弟や妹の絵本やおもちゃ、家族の洗濯物が散らかり、 足の踏み場もありません。
自分専用の勉強机はなく、家で唯一の食事用のテーブルが勉強場所です。
そのテーブルさえ、スペースがないため、食事が終わると片付けなくてはなりません。
夏になるとクーラーのない自宅は蒸し暑く、幼いきょうだいたちもいるため、勉強どころではありません。
家計が苦しいので、塾に行くことももちろんできませんでした。
「どうして私だけ…」
考えても仕方ないことと分かっていも、周りの友達の生活と比べてしまい、どんどん卑屈になってしまう…。
自分にも自信が持てなくなり、将来にたいしての希望や夢なんて何も、持つことができなくなってしまいました。
さくらさんが出会った放課後学校
そんなとき、さくらさんの父親の元に、地元の役所からある案内が届きました。
それは、就学援助を受けている家庭に送られるもので、NPO法人が立てた無料で通える『放課後学校』の案内でした。
多少の迷いはあったものの、涼しい環境で勉強ができること、そして無料で夕飯も食べられることに惹かれ、 さくらさんはその放課後学校へ通い始めました。
行ってみるとそこには、自分と似たような環境で育ち、同じ悩みを持つ中学生もいました。
親身になって話を聞いてくれる、NPOスタッフやボランティアのお兄さん、お姉さんもいました。
通い続けるうちに、そこにいるスタッフ、そこへ通う中学生たちに対して、家族みたいな温かさを感じるようになったそうです。
そして夕食が本当に楽しみで、毎日まず献立をチェックしているそうです。
献立が自分の好きなものだと、それだけで食前の勉強にも力が入るとか!
温かい夕食で、お腹がいっぱいになるととても幸せな気持ちになり、 さらに勉強も頑張ることができました。
勉強はあきらめかけていたけど、放課後学校では思う存分学ぶことができる。
勉強が楽しくなった彼女は、毎日自習室に通いました。
すると成績が上がり、得意な英語ではテストで100点が取れるようになったとか。
英検3級にも挑戦して、受かることもできたそうです。
これまで、「自分は不器用で何もできない」と思っていたというさくらさん。
でも今では、「英語は得意」と思える自信がつきました。
「英語を使って海外で活躍できる人になりたい」
それが、今のさくらさんの夢だそうです。
日本でも年間270万人の子どもたちが、
貧困により勉強する機会を奪われている可能性があります。
実は今、日本でも7人に1人、約270万人の子どもが相対的貧困家庭で育っていると言われています。
相対的貧困家庭とは、収入が平均収入の半分以下の家庭を指し、保護者1人+子ども1人の場合、年間122万円未満で暮らしている家庭です。
衣食住などの悩み以外にも、希望の学校や大学に進学できない、学びたいことを学ぶことができないなど、切実な問題を抱えた家庭が日本にも多く存在しているということです。
2014年のデータでは日本の相対的貧困率は、OECD加盟国34か国の中で、9番目の高さにあります。
ひとり親家庭の子どもに限ると、2人に1人は貧困にあたり、ひとり親家庭の相対的貧困率は、OECD加盟国中、日本は1番高い状況です。